これからの店舗経営は「データ戦略」の時代へ(第3回)
こんにちは、ONEHALLソリューションサービス担当です。
第3回となる今回は、自店の顧客特性や特徴を客観的かつ数値的に検証・把握することができる遊動(人目線)データの分析や活用法についてお届けします。
今回は「スマスロモンキーターンⅤ」の実際の台データ及び人目線データを用い、各種データの比較や気付きについてみていきたいと思います。
データ詳細
【集計概要】
対象機種 山佐「スマスロモンキーターンⅤ」
対象期間 2023年12月4日~2024年6月10日(28週間)
対象台数 83,161台(累計)
対象者 山佐「スマスロモンキーターンⅤ」を遊技した人
対象人数 315,151人(うち会員:92,514人)
目次[非表示]
- 1.台データと人目線データ
- 2.ユーザー属性
- 3.機種別1人当たりの売上とアウト、遊技人数の分布
- 4.一人あたりの平均勝ち額・負け額
- 5.一人あたりの勝率
- 6.相関分析
- 7.まとめ
[前回の記事を読む]
台データと人目線データ
台データは多くの店舗が最も見ている重要な数値です。下記は日別で基本的な項目となりますが、他に【出玉率】【営業割数】【スタート】【特賞出玉】【特賞間アウト】【客滞率】等々営業に関わる各種データを見ることが出来ます。
こちらは、山佐「スマスロモンキーターンⅤ」の基本項目の台データになります。
ここからこのデータを人目線で見ていきたいと思います。
「遊技人数」がわかれば各項目の「人あたり」のデータを見ることができます。
台データでは導入初週からアウト・売上・粗利が徐々に低下してきているのがわかります。
(対6/10週比 アウト:40%↓・売上35%↓・粗利65%↓)
一方、人目線データでみると、「スマスロモンキーターンⅤ」は導入してから現在までアウト・売上・粗利ともにそこまで低下しておらず非常に優秀な台であるということがわかります。
(対6/10週比 アウト:22%↓・売上17%↓・粗利43%↓)
稼動は人が作ります。その人達が「どれだけ遊技してくれているか」「どれくらいお金を使ってくれているか」の指標は今後その機種がどれだけ長い期間稼動するかの大きな目安になります。
ユーザー属性
こちらは導入から28週間までの、「スマスロモンキーターンⅤ」遊技した会員のお客様属性になります。男性客(94.1%)メインで、30代中心のお客様が多い状況となっています。人目線データでは、台データでは見えない遊技者の属性もみることができます。
機種別1人当たりの売上とアウト、遊技人数の分布
では、次に先ほどの「ユーザー属性」と「アウト」と「売上」を掛け合わせて人数を円グラフの大きさで表現したグラフをみていきます。
こうすると先ほどの「ユーザー属性」だけではわからなかったことが見えてきます。
例えば、本機はユーザー属性で「30代を中心とした男性客」がメイン客層であることがわかりましたが、こちらでは年齢層が高い方がアウトも売上も高いことがわかります。
遊技した人数は30代の男性は確かに多いのですが、実際に長時間遊技したり、売上に貢献している年代は40代以上だということです。またこれは、人数は非常に少ないですが、女性客にも同じことが言えます。仮に、この女性客を増やすことが出来れば、長時間遊技や売上向上が見込めるという見方もできます。
一人あたりの平均勝ち額・負け額
■平均勝ち額
■平均負け額
これは1人あたりの平均勝ち額と平均負け額となります。
算出方法は簡単で[勝ち総額÷勝ち人数=勝ち平均額]・[負け総額÷負け人数=負け平均額]となります。当然ですが、稼動が落ちてくれば勝ち平均も負け平均も小さくなってきます。「だから?」と思うかもしれませんが、これがなかなか重要なのです。
稼動が下がると台のポテンシャルが最大限発揮されません。
パチンコ・パチスロは娯楽ですが、この幅が小さくなる=台の魅力が減ってきているとも言えます。この点では、「スマスロモンキーターンⅤ」はかなり優秀な台です。
若干この数値は縮小していますが、他機種と比較すると勝ち額・負け額ともに減少幅は小さい傾向にあることもデータを比較すればわかるのです。
一人あたりの勝率
最近は注目されている「勝ち体験率(一人あたりの勝率)」ですが、人目線では実数がわかります。これは、「スマスロモンキーターンⅤ」の[勝った遊技者総数÷遊技者総数=勝率]で、実際に勝った人の割合になります。
同機種は、導入当初から徐々に勝率は落ちてきてはいますが、現時点でも遊技者の勝率は33%を超えており、かなり良い数値になります。他の機種の勝率と比較するとわかりやすいのですが、33%を超えるとかなり上位にいる数値だと言えます。
本機は、稼動・売上・粗利も良く、遊技者には勝ち体験を与えられる機種となり、設置することで大きなメリットをもたらしている機種と言えるのではないでしょうか。
相関分析
こちらは「スマスロモンキーターンⅤ」を軸に、どの機種から遊技者が来たのか、遊技後にどの機種へ行ったのかをみる相関の総数になります。
今までもこのような回遊(相関)レポートはあったのですが、これには注意する点があります。実際に行き来した数字には違いないのですが、設置台数が多ければそれに引っ張られてしまい体感と違うデータとなっておりました。
上記のデータでは、設置台数の多い「スマスロ北斗の拳」や「ジャグラーシリーズ」が相関の上位となり、こういったデータはあまり重要視されていなかった指標になります。
しかし、弊社の遊動では、流通業界等で使われているバスケット分析(※1)を用い、精度の高い相関(回遊)分析を可能としています。
※100P以下で相関が低く、100P以上で相関あり、500P以上で相関が高い
このバスケット分析を用いた相関(回遊)を見てみると、「防空少女ラブキューレ2~極限の共鳴~ 」や「忍魂参~奥義皆伝ノ章~ 」「GI優駿倶楽部黄金 」が上位に来ており、これら機種とはかなり相性が良いことがわかります。また、逆に「スマスロモンキーターンⅤ」は、多台数導入されている「スマスロ北斗の拳」(相関順位:47番目)とは競合していないということもわかります。
例えば、相関の高い機種を数多く揃えることで回遊率を高め全体稼動を上げる戦略も可能ですし、競合しない機種を選び顧客を増やす戦略も施策として考えることができるといったものです。
バスケット分析を用いることで、ホール様の体感に近い機種をご確認いただけます。
全体的な傾向としては、同スペック帯の相関が高く、次いで同メーカー・類似コンテンツとの相関が高くなっています。これらを数値化したり、比較することで、新台購入時に限らず、中古台購入時や撤去台選定時にも役立てることが可能です。
※1 バスケット分析とは
バスケット分析とは、販売データ解析手法です。
1回の来店で、どのような商品の組み合わせて買われているのかという併売状況を調査・分析する手法で、「バスケット」とは「買い物かご」を意味し、中に入れられた商品について分析するため、このような名称が付いています。
まとめ
従来使われてきた台データはもちろん必要です。ただ台データだけではわからないこともあります。今回の対象機である「スマスロモンキーターンⅤ」は、稼動実績もあり概ねのホールの皆様が良台であると認識していることと思います。実際、台データでも人目線データでも非常に良いデータとなっていました。その中で、感覚値ではなく、実際にどのような人たちがどの程度台を稼動させているのかなどの構成がわかると、それは今後の営業戦略のヒントになります。
今回は、対象機を「スマスロモンキーターンⅤ」として色々見ていきましたが、貴店のメイン機を軸にお客様の属性や動向の把握、そして相関(回遊)を見ることで、今以上の集客や売上アップの営業戦略ツールとしてご活用いただきたいと思います。
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